ルードヴィッヒ・ベルテレ

Ludwig Bertere:1900- 

 


 ルードヴィッヒ・ベルテレは1900年、ミュンヘンで生まれる。1916年、ローデンシュトック工場の光学計算部に就職。3年後にドレスデンにあるエルネマン社に転職した。1924年、彼は若干24歳という若さでエルノスターという、当時としては大口径で明るい100mmF2の設計に成功。ベルテレの働くエルネマン社は1926年にツァイス社の傘下のツァイス・イコン社となったが、彼はそのまま新会社で働くこととなった。
 ツァイスの所属になって3年後、彼は前群トリプレットに後群に収差補正用の張り合わせレンズを併せたゾナーの特許を取得した。最初はシネ撮影機に取り付けられたゾナーであったが、このころツァイス社で35mmカメラの計画が持ち上がり、コンタックス用のゾナーの開発を始める。当時のゾナーは球面収差や色収差、歪曲も目立ったが、ベルテレの改良により、これらの補正に成功したゾナーが1934年に発表された。そう、あの有名なゾナー5cmf1,5は、1932年の初代コンタックスの発売に合わせて、ベルテレが心血注いで開発したのである。
 さらにベルテレは、ゾナーの光学系に特殊な後群を加えることによって、ビオゴン3,5cmを生み出し、広角レンズのバリエーション増加に一役買って出たのである。前後対象系のその光学系は、見事なまでに収差補正されており、現在でもなお、そのレンズ構成は高く評価されている。
 この後、ベルテレは第2次世界大戦中も戦後もレンズ設計に携わり、戦前のパウル・ルドルフの後を継いで数学部部長に就任した。彼はコンタックスのレンズシリーズに30年にも及ぶ人生を捧げたといわれている。

   

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