Planar:プラナー

 
 

 プラナーの命名の由来はドイツ語で平面を意味する「プラーン」から名付けられたとされている。1896年にパウル・ルドルフ博士の設計により誕生した。この時、オットー・ショットからの新型ガラス提供は必要不可欠であったことを付け加えておく。球面収差と非点収差を良好に補正できることから「無収差レンズ」と呼ばれ、ツァイスが誇る代表的ないわゆる「看板娘」的レンズである。
 レンズを大口径化すると、一般的には収差補正が困難になるが、ツァイスのプラナーの場合、かえって質が良くなるレンズ構成なのである。プラナーのレンズ構成上の特徴として、絞りを境にしての前後対象設計となっている。世界中のカメラマンから絶賛されているP85mmF1.4はもちろん、CONTAXブランド50周年と60周年の二度にわたり記念製作されたP85mmF1.2など、諸収差が出やすい大口径レンズにも、プラナーは用いられている。また、変わったところでは、Gシリーズ用としてP35mmF2がある、広角系でありながらも、ショートフランジの利点をうまく利用し、プラナータイプを採用した。諸収差を良好に補正し、ゾナーやディスタゴンでは全く味わえない独特の世界を確立した。
 プラナー誕生100周年に記念製作されたP55mmF1.2は、100年のプラナーの歴史に恥じぬような素晴らしい描写を呈する。最新のコンピューター設計により、プラナーの背景のボケ味を損ねずに、中心から周辺にかけての安定した解像度を誇るものであり、ツァイスレンズの新たな一歩を感じさせる。

 今日もPlanarタイプのレンズは標準レンズの帝王として君臨し、コンタックス、ハッセル、ローライのボディに・・・100年以上前の志は脈々と途絶えることなく受け継がれている。

 

 

 

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